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コラム・弁護士

 
   

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その1

鈴木 周

2017年2月

弁護士 ・ 鈴木 周

平成28年秋のある日、弁護士会地下1階の中華「鳳鳴春」で、関弁連の支部探検の隊員たちと一杯やっていた時、山梨の井上昌幸隊員と東弁の西岡毅隊員から、「隊長、今度の支部探検は関弁連最北端の新潟村上支部に行きませんか。」という話がなされた。私は、「うーん、ずいぶん遠いから日帰りは困難かもなー。それにこないだ長岡支部行ったばっかりなのに、また新潟というのもなんだし、寒いとこはもういいなー。」とつれない回答をしたのだった。

ところが、11月のある日、某銀行系のクライアントの案件で、「29日に、村上で不動産の任意売却があって、その時お金と引き換えに抵当権抹消書類を頂きたいんです。でも、村上じゃ遠すぎですよね…。」という話が舞い込んだ。行きます行きます行かんでか、私は「おっ、ちょうど村上に行くついでがあったんです。行ってきますよ。前日入りして朝イチの9時デリバリーでお願いします。」と快諾した。

朝9時なら遅くても10時には解放されるはずだから、お昼過ぎまでは探検できるだろう。帰りは村上から米坂線で峠を越えて山形の米沢に出て、東北新幹線で帰ってくるのも楽しそう。私は、「どれ銀行から村上支部まではどのくらいあるのかな。」と、弁護士職務便覧を引っ張り出してひとしきり調べ、その後急に虚ろな目になって便覧を戻し、西岡隊員に16ポイントの赤いゴチック体で「村上支部なんかないじゃないかー! どう責任取ってくれるんだ?」という怒りのメールを送信した。すると、すぐに「それじゃ責任とって井上隊員に復代理で行って貰いましょう。」などと無責任極まりない回答が返ってきたので、「いいよ、山梨からじゃ気の毒だろ。オレにも八丈島の前科(※)があるしな。ドッカンめぐりになっちゃうが関弁連最北端は間違いないし、村上行ってこよう。」と健気にも覚悟を決めたのだった。

村上簡裁のある新潟県村上市は、新潟県の北端にあり、その北はもう山形の鶴岡である。名物は三面川を遡る鮭と、堆朱(ついしゅ)、村上牛(これは知らなかった)、村上茶といったところである。堆朱とは、要するに漆器で、細かい木彫りに赤い漆を塗ったものである。名前を知らないだけで、大抵の家には花瓶とか箸置きとか、一つくらいはあると思われる。

村上市は平成の大合併で、全国第2位の広さを誇る朝日村を合併したため、ものすごい巨大都市(1174平方km)になってしまい、琵琶湖(670平方km)なんて小指でチョイ、なんと沖縄本島(1207平方km)といい勝負である。その代わり、人口密度もエライことになってしまい(一平方kmあたり52人)、なんとなく同じような感じかなー、と思って調べてみた南アルプス市(267人)の実に5分の1であった。サッカー五輪代表(23歳以下)にオーバーエイジでなぜか三浦カズとゴン中山が入っちゃって平均年齢が跳ね上がった、みたいな感じだろうか。と言うと、まるで田舎田舎と言ってるようで申し訳ないのだが、私も新潟の山間で育った人間であり、揶揄するような意図は全くなく、ただ「ワー広い」と驚いているだけなので、ご容赦願いたい。

11月28日(月)は、夕方まで事務所で仕事をし、午後6時過ぎに事務所を飛び出して新宿から中央線でソリャーと東京に出、新幹線に飛び乗ってトリャーと新潟に飛び、新潟から羽越線「特急いなほ」に乗ってさすがにヘナヘナと坂町駅までたどり着いた。約4時間の旅程であった。道中は真っ暗であったので特筆すべき点は全くない。あえて言えば鶏飯弁当が美味しかったことと、実家のある藤岡近辺で「おかあちゃーん」と叫んだこと(心の中で)、長岡で「○子ちゃーん」(小学校の時に好きだった女の子)と叫んだこと(心の中で)、くらいのものであろうか。

明日の任売の決裁は村上市街地ではなくて、旧荒川町(村上から駅で3つ南)の新潟懸信用組合の荒川支店で、最寄は米沢に向かう米坂線のターミナルになっている坂町駅であった。夜10時過ぎに坂町駅に着いたが、そんなに寒いということもなく、東京と同じ位で、薄手のコートを着てきて正解であった。駅では翌日の村上行きの時間を確認し(午前9時51分)、ついでに、米坂線の時間を見てみたら、ノーっ、なんじゃこりゃー! なんと9時33分の便のあとは13時34分までなく、それを逃すと17時11分ということであった。こりゃダメだ、諦めた、帰りは新潟に出て新幹線で帰ろう、それにしてもローカル線に乗って県境を越えてみたかったなあ。

坂町駅のメインストリートは、夜10時過ぎでは当然だが、お店などは殆ど開いておらず、人通りもなく、車も全く通っていなかった。ポソポソと街路樹にイルミネーションが点っているのが、かえって寂しさを演出していた。駅から徒歩2分程度で、本日宿泊する「松屋」に到着した。松屋は老舗割烹であるが、「お泊りも出来ます」という旅館で、トイレ風呂共同で朝食付き7000円であった。ガラガラと戸をあけて「すみませーん」と声をかけると、奥から大きな男の人が出てきて案内をしてくれた。なんだかハアハア言っているので、「なんか疲れてるみたいですけど大丈夫?」と聞いたら、「眠くならないようにお酒飲んで待っていた(趣旨不明)」ということであった。

お客さんは、私のほか2名おり、いずれも荒川で鮭を釣るお客さんで、朝4時起きで、5時には出るということであった。そのためにご主人も朝食の用意で毎日早起きせざるを得ず、夜はこの時間でも眠くて仕方ないのだろう。2階の「蘭」の間に案内されたが、思っていたよりずっと立派な10畳の部屋で、古いけれど調度も全部手の込んだものであった。共同のトイレはウォシュレットなしだが、7000円ですもの、文句は言いますまい。お風呂もなんとなくご家庭用のプラのを想像していたが、大きくて立派な石造りであった。しかし、なぜか部屋に鍵がついておらず、しかもなぜか金庫もついておらず、これには困惑した。どうせよというのであろうか。村上には悪人はいないのか。仕方なく布団の下に財布を隠し(絶対すぐバレそう)、お風呂に入って(寒かった)、主人にビールを貰ってあがってきたら無事であった。ホッとして、持参のササミスモークでビールを飲み、ニュースをちょっと見て、明日に備えて寝ようと思ったら、今時珍しい超重い布団が2枚もかかっており、「これじゃアッシは圧死しちまうゼ」とかダジャレを飛ばし(本当)、1枚はいで寝たのだった。

つづく

 

※ 以前、関弁連だよりで熊谷支部の記事を書いたとき、「次回は『調布からJALで行く(プロペラ機)! 八丈島支部。』にします。」と紙上で告知したところ、後から八丈島には支部はなく、調布からは飛行機が飛んでなく、羽田からはあるがANAで、しかもジェット機だったということが判明した事件。

 

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